冬水田んぼでコメ作り   音声を再生  
農地の保全

 NPO法人手賀沼トラストでは、休耕田や放棄された荒蕪地を対象にして農地所有者の合意を得た上で、その農地の保全のための管理作業を続け 年になります。 具体的には、草刈りとか「土づくり」を基本として、無農薬・無化学肥料の有機栽培により「持続性のある農地」に戻し、そこで出来るだけ在来種を中心に、 自家採種による種子を使用し、水稲、そば、野菜類、修景作物(ヒマワリ)等を輪作方式で作付けしてきました。
生態系農業の創出

 そのことにより多様な生き物と共生する「生態系農業」の創出に務めています。 特に水田では「冬水田んぼで米作り」を実践し 年目になります。この田んぼは、20年も放棄された荒蕪水田を再生したもので、耕盤が崩れ、漏水の激しい、 米作りには厳しい水田であったが、堆肥や有機資材の投入で土壌改良を進め、耕盤を再生させ、湛水状態を安定して維持できる水田に作り上げてきた経緯があります。 「冬水田んぼ」とは、12月から冬期間はもちろん稲の収穫前までの間、田んぼに湛水状態を続ける水管理方式を総称したものです。 このため、トラストでは井戸を掘り、用水の確保をはかり、ポンプで吸い上げ田んぼに水を供給しています。湛水は不耕起のままで実施し、 水の中で稲の切株などは腐り、最終的には肥料となります。
生物間の食物連鎖

 水温の上昇と共に土の中には、イトミミズやユスリカの幼虫など微小生物が爆発的に増殖し、水中ではプランクトンやミジンコ、オタマジャクシやヤゴ類、 ドジョウやザリガニ等賑やかな生物相が出来上がってきます。 一方、稲の生育が進むとクモやカマキリ、トンボ等、また畦畔にはヘビも出現してきます。 さらにこの田んぼには餌を求めて、いろいろな野鳥が飛来してきますので、これはまさに生物間の食物連鎖の形成であり、生態系ピラミットの創出ということになります。 このような中で農薬や化学肥料を一切使用しないでも稲は強健に育ち、高い収量(10a当たり600kg程度)を上げています。 この「冬水田んぼ方式」は環境にやさしく省力的でコストも安くすむので、一般化して普及できるものと確信しています。手賀沼周辺の田んぼで広く普及されることを願っています。
冬水田んぼトラストで掘った井戸より灌漑トラストの田んぼに訪れた野鳥たち
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